「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
今回の「ハムレット」は今まで演じられてきた
ハムレットとどこが違うのでしょうか?
今回のショーでムードメーカーとなる
「ポローニアス」を演じられた山崎一さんに
インタビューをさせていただきました。
山崎一
(ポローニアス)
Photo Credit: Shinji Hosono
ラリサ:ディレクターのサイモン・ゴドウィン氏にいただいたアドバイスで、今まで日本人の演出家からもらったことのなかったアドバイスはありますか。
山崎一:サイモンとのやり取りで面白かったのは、まずこの作品(「ハムレット」)を昨日書かれた作品だと思って接して下さい、と言われたこと。役を自分自身に引きつけて演じてほしいと言われたこと。つまり古い作品として扱うなと言われてるようだった。芝居は今を写す鏡であると。
ラリサ:どのようにしてシェイクスピアにおける古典的な英語を学びましたか。
山崎一:サイモン・ゴドウィン氏のレクチャーです。
ラリサ:シェイクスピア劇を学ぼうとしている俳優の方々にアドバイスをお願いします。
山崎一:古典劇であろうと、こうでなければいけないということはない。そういう先入観を捨てることからはじめるべきだ!
Photo Credit: Shinji Hosono
ラリサ:日本の観客に向けて上演するにあたり、作品と演じたポローニアスにはどのような変更がありましたでしょうか。
山崎一:かなりあります。自分に役を引きつけるという演出のもと、今回のポローニアスは太っていません。あまり年寄りでもありません。眼鏡もかけています。そしてお客さんと積極的に接しています。お客さんをもっと巻き込んでくれと言われたためです。
Photo Credit: Shinji Hosono
ラリサ:笑いの間がとても面白かったですが、あの笑いは台本に書かれていたものですか。それとも即興でやられたものですか。
山崎一:笑いの間は台本には書かれていません。即興でもなく毎日同じ事をしています。ただ、毎日お客様は違いますが(笑)。
ラリサ:ジョークの部分は特に日本用にアレンジするのが難しいと思いますが、
ディレクターとどのような打ち合わせをしましたか。
山崎一:ディレクターのサイモンはかなりの部分で僕に任せてくれました。
サイモンとのやり取りはとても刺激的でユーモアがあり面白かった。
ラリサ:今回ポローニアスを演じられた中で、ご自身が感じる今まで演じて
こられた方との違いは何ですか。
山崎一:自分ではあまり意識していないのですが観ていただいた方からは
「ポローニアスがこんなに面白くなるとは思わなかった。」と言われました。
Photo Credit: Shinji Hosono
ラリサ:今回のような作品を見たくても、日本語がわからない外国の方に何かメッセージはありますか。
山崎一:言葉は分からなくても「ハムレット」の物語さえ知っていれば十分楽しめると思います。
ラリサ:あなたのキャリアの中で日本の演劇界はどのように変わってきましたか。
山崎一:物語を解体する運動が一時期一斉を風靡しました。いわゆるアンダーグラウンド、アングラと言われる活動が盛んな時期に芝居を始めました。そして今はまた物語は復権しています。
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ラリサ:あなたのキャリアの中でお気に入りの役があれば理由とあわせて教えてください。
山崎一:「父と暮せば」作 井上ひさし
父親 竹造 役。日本を代表する劇作家の井上ひさしさんの代表作。広島の原爆で死別した父と娘の物語。ひょんなことから死んだはずの父親が生き残った娘のもとに現れ、そして壊れてしまいそうな娘の心をユーモアな会話を交えて立ち直らせようとする親子の物語。そしてその会話から原爆の恐ろしさ、戦争の怖さが浮き彫りになってくる。
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